Tuesday 19 December 2017

『映画』The Crown Jewels of Iran(Ganjineha-ye Gohar/イランのクラウン・ジュエル)


The Crown Jewels of Iran (Ganjineha-ye Gohar/イランのクラウン・ジュエル)
 The Art Commission(短編映画特集)より・・・Painting with Light (International Festival of Films on Art)
公開年: 1965
製作国: イラン
監督:  Ebrahim Golestan
見た場所: National Gallery Singapore

 産業界や政府の依頼によって作られた短編4作品を集めている。どれも過去作品なのだが、全てレストアされたバージョンでの上映。事情によりチケットの一般販売が途中からできなくなったため、私はこの映画祭の運営に関わっている知人から直接チケットを買った。そのような事情があったため、ゲストも来ていたのだが、観客が少なくて残念だった。  

写真ではキラキラさ加減は伝わりませんが・・・

 イラン中央銀行の依頼によって作られたこの作品は、過去300年にわたるイラン王朝の宝物を紹介している。これらの宝石は非常に高価なため、イラン通貨の保証として銀行が保管しているのである。レストア・バージョンのこともあり、ビロードのような真っ黒な背景に次々と登場する宝石は、まさに目が眩むような輝きである。非常に手の込んだ美しい品ばかりで、各王朝の勢威が偲ばれる。

 しかし、ただそれだけなら、国の宝をスタイリッシュに紹介した作品に過ぎないのだが、この作品には微妙に批判的な視点が入っている。映画の最初に映されるのは、広大な大地で働く農民達の姿である。国の歴史がこのような名も無き人々によって築かれてきたことを前提とし、この宝石コレクションはその対極として位置づけられているかのようである。(あるいは、本当の宝は彼らなのだと言いたいのかもしれない。)ナレーションでは、コレクションを王達の退廃の歴史としている。微妙に批判的なゆえに、(中央銀行なので)国がスポンサーにも関わらず、この作品は当時の検閲に引っかかった。その際にカットされたナレーションが復活しているのだが、それは、現在の王が最後の王になる、という意味合いことを言っている部分である。皮肉なことに、1979年のイラン革命により、この映画製作当時のシャー(王)、モハンマド・レザー・シャーが最後の王となった。

 映画上映後のQ&Aコーナーに、この作品の監督Ebrahim Golestanについての映画を製作中である、イランの映画監督Mitra Farahaniさんが登場。フレンドリーかつ、ゴージャスな女性だった。2017119日)

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