Monday 16 October 2017

『コンサート』Jasmine Sokko(ジャスミン・ソッコ)/Disco Hue(ディスコ・ヒュー)


2017923
Local Motion(ローカル・モーション)」: Jasmine Sokko(ジャスミン・ソッコ), Disco Hue(ディスコ・ヒュー)
見た場所: Fort Canning Park

 ここ何年かですっかり人気となったフライドチキンのファースト・フード店、4 Fingersが主催するローカル・ミュージシャンのフェスティバルである。なぜ4 Fingersが?しかも無料で?どうやって利益を?などという疑問が湧きつつも、久しぶりにFort Canning Parkに行ってみたのだった。

 主催者は4 Fingersとは言え、実際に運営を担当しているのはEatmepoptartというローカルのDJグループである。Eatmepoptart自身を含め、8組ほどのミュージシャンが出演し、夕方5時からの開場だったが、私はJasmine Sokkoが出演する7時半頃に行った。

 久しぶりに行ったFort Canning Parkは遠かった。遠いというか、かつては砦(fort)が築かれていただけに、小高い丘の上の公園なのである。最寄り駅から徒歩で上がって行ったら、それだけでちょっと疲れた。

 行ってみたら、メイン・ステージとは別に、EMONIGHTSGがサイレントディスコを開催していた。サイレントディスコは、参加者が専用のワイヤレス・ヘッドホンを着けて、そこから聞こえる音楽を楽しむというもの。EMONIGHTSGはこれまたローカルのDJグループだが、EMO NIGHTというだけあって、流す音楽はEmo(エモ)である。というわけで、ヘッドホンを着けた40人くらいの男女が、イエローカードの「Only One」を大合唱していた。サイレントディスコを初めて見たのだが、音楽は全く聞こえないのに、ピカピカ光るヘッドホンを着けた人達が声を合わせて歌い、無心に踊っている。傍から見ると、ちょっと恐い。

 メイン・ステージの方に行ってみると、舞台正面の上部には、燦然と輝く4 Fingersのロゴ。この四本指のロゴが、映画にもなった某人気漫画に登場するカルト宗教団体のマークを思い出させ、ますます恐い。4 Fingers Crispy Chickenが、音楽を使って若者を洗脳しようと企んでいるかのようである。私は若者ではないのだが。

ちなみにこれが、4 Fingersのロゴである。4本指というところが・・・

 それはともかく、Jasmine Sokko(ジャスミン・ソッコ)は30分ほど遅れて始まった。ジャスミン・ソッコは2016年にデビューしたエレクトロニックのソロ・ミュージシャンである。可愛かった。顔もなかなか可愛いのだが、所作(という言い方が古くさい)が可愛い。「うふふっ」という感じが可愛い。そんなわけで、「可愛い」という単語を噛み締めながら彼女の歌を聞いていたのだが、パフォーマンス自体もとても良かった。(曲自体が似ているというわけではなく)全体的なイメージとしては、FKAツイッグスからセクシーさを取った感じ、グライムスからアーティスト然としたところをなくした感じ。より可愛くより庶民的。曲に一緒に歌えるようなキャッチーさがあまりなく、加工された歌声の効果もあって、夢見るよう。そのためずっと聞いていると、良く言えばトリップ感があり、悪く言えばダラダラ続いている感じがある。この点もFKAツイッグス のライヴを思い出させた。ちなみに、キーボードはこの後に登場したDisco HueZieが務めていた。

ジャスミン・ソッコ(写真技術の不備で、可愛さが撮れていない。)


ジャスミン・ソッコの「Porcupine」。残念ながらマスクのせいで本人の顔はよく見えない。

 Disco Hue(ディスコ・ヒュー)は2012年に結成された4人組バンドである。と書いていて、この日舞台には5人いたことを思い出した。キーボード、ボーカル、ギター、ドラムの4人なので、恐らくベースの人はメンバーではなかったのかと。生で聞くまではエレクトロニック色の強いバンドだと思っていたが、実際は、思っていたよりもずっとロック・バンドだった。シンセサイザーの音が強いリリース版と異なり、各パートのバランスが取れた派手な音だった(そのために5人になっていたのかもしれない)。観客の多さに感激しつつ、白熱のパフォーマンスを見せた彼らの曲には、どことなくレトロな、80年代っぽい感じがある。それを意識しているためか、ボーカルのSherlynとともに(と言うかそれ以上に)観客を盛り上げていくキーボード、Zieの衣装は80年代風だった。30分前にジャスミン・ソッコのライヴで演奏していた時とは完全に違う服装。その時はジャスミンに合わせて黒い衣装だったが、自分達のライヴでは、白と赤のボーダーTシャツに水色・赤・白の入ったジャケット。目立ち過ぎだろ、お前。

ディスコ・ヒュー(向かって左のキーボード担当が目立つ。)


ディスコ・ヒューの「Plastic Hearts」 featuring Akeem Jahat(アキム・ジャハット)。
 アキム・ジャハットはシンガポールのラッパー。この曲をやった時、もしかして登場するのでは、とちょっと期待したけど、それはなかった。ちなみにビデオに登場する三組のカップルの、男3人はディスコ・ヒューの面々だが、女性3人はバンド・メンバーではない。ボーカルのSherlynの顔はこのビデオではよく見えない。ビデオの中で女の子がガッツリあぐらをかいているのを見て、「あぁ、シンガポール女子だなぁ」と思った。

 ディスコ・ヒューをトリに、全てのライヴ・スケジュールが終了し、その後はDJ達へと引き継がれて行ったが、私は見ないで帰った。でも十分満喫した。楽しかった。ただ、会場が丘の上で、周囲にお店があるわけでもないのに、会場でもあまり食べ物・飲み物を売っていないことが残念だった。しかも、持ち込みができない。というわけでもし5時から行っていたら、お腹が空いて腹が立ったかもしれない。行く前は、4 Fingersが主催なのだから、なんかもう山のようにフライドチキンを売っていて、誰しもがフライドチキンを食べているのだとばかり思っていた。そうではなかった。むしろ4 Fingersは全く売っていなかった。考えてみると、マクドナルドの屋台などというものを見たことがないので、そういうものなのだろう。食べられないとなると、無性に4 Fingersが食べたくなった。4 Fingersのプロモーションとしては、このイベント、間違ってなかったんだなーと思ったのだった。2017928日)

会場を飾るパネル。ここにも4 Fingersのロゴが・・・。

ちなみにこれが4 Fingers Crispy Chicken。
フライドチキンを特製のタレに絡めたもの。酒のツマミに良さそうな味の濃さ。